※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
 屋敷に到着すると、太陽が燦々と射し込む広間へ案内される。ティアーシャのために用意された、光り輝く舞台のような部屋だった。豪奢なドレス、宝石箱が運び込まれ、ティアーシャがそれらを選び取る。


「それで? どれから描きましょう?」

「まずはこのイヤリングを着けた私を」


 ティアーシャの耳元で、大きなエメラルドが揺れ動く。親指の爪よりも大きな、美しい宝石だ。周りにはダイヤモンドが散りばめられ、キラキラと輝きを放っている。


「さすが、すごい宝石ですね」

「ありがとう。おじいさまから戴いた、大切なものなのですわ」


 はにかむ様に笑いながら、ティアーシャはそっとイヤリングを撫でる。


(意外だな)


 普段あんなにも自己顕示欲に塗れているのに、実際に褒めてみたところで、そこまで大きな反応は返ってこない。ノアの褒め方が悪いのか、はたまた何か別の理由があるのだろうか。


「出来ました。次を描きましょう」

「もう? そんなに早く描けるものなの?」


 そう言ってティアーシャは、ノアの手元を覗き込む。


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