※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
33.全力で愛を叫ばせろ(4)
***
きらびやかな夜会会場。
真紅の艶やかなドレスを身に纏い、あたしは一人静かにターゲットを見つめる。
【早速釣れたようだな】
背後からダミアンが囁く。コクリと頷きつつ、あたしはニコリと微笑んだ。
「こんばんは、美しいご令嬢。貴女のお名前をお聞かせいただけませんか?」
ロズウェル侯爵はお父さまと同じか、少し上ぐらいの壮年男性だ。
綺麗なロマンスグレー。既婚者だし、普通だったら若い令嬢はお近づきになりたくない相手だけど、何とも言えない大人の魅力を醸し出しており、趣向さえあえば、コロリと堕ちてしまう者もいそうな雰囲気だ。
【絆されるなよ、アイナ】
【誰が】
正直いってあたしの好みじゃないし、借金まみれで他人に迷惑かけまくっているオヤジなんてお断り。誰が好きになるかっての。
「アイリーン・アスモダイと申します。以後、お見知りおきを」
今回はターゲットが貴族ということで、バリバリの偽名を使うことにした。
アスモダイ家はアスモデウス家の分家である伯爵家。こちらには『悪魔』の評判は付き纏っていないので、変に警戒されることはない。
きらびやかな夜会会場。
真紅の艶やかなドレスを身に纏い、あたしは一人静かにターゲットを見つめる。
【早速釣れたようだな】
背後からダミアンが囁く。コクリと頷きつつ、あたしはニコリと微笑んだ。
「こんばんは、美しいご令嬢。貴女のお名前をお聞かせいただけませんか?」
ロズウェル侯爵はお父さまと同じか、少し上ぐらいの壮年男性だ。
綺麗なロマンスグレー。既婚者だし、普通だったら若い令嬢はお近づきになりたくない相手だけど、何とも言えない大人の魅力を醸し出しており、趣向さえあえば、コロリと堕ちてしまう者もいそうな雰囲気だ。
【絆されるなよ、アイナ】
【誰が】
正直いってあたしの好みじゃないし、借金まみれで他人に迷惑かけまくっているオヤジなんてお断り。誰が好きになるかっての。
「アイリーン・アスモダイと申します。以後、お見知りおきを」
今回はターゲットが貴族ということで、バリバリの偽名を使うことにした。
アスモダイ家はアスモデウス家の分家である伯爵家。こちらには『悪魔』の評判は付き纏っていないので、変に警戒されることはない。