※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
33.全力で愛を叫ばせろ(5)
***
ダミアンは予め、すべての証拠を押さえていた。
ロズウェルが取引をした商人――――トミーの売買記録も、お父さまの遺書を偽造した人間とそのルートも、義母が隠し持っていた毒物も全て。
人間の法律に基づき、正しく二人を罰するために。
(教えてくれたら良かったのに)
まぁ、その方がダミアンらしいけど。
「アイナ! あんた、よくも……よくもお母さまを!」
そのときだった。
屋敷から連行される義母を見送りながら、メアリーがあたしに向かって声を荒げる。隣にはあたしを捨てたラファエルが、困惑した面持ちで突っ立っていた。
「この悪魔! 人の心を持たない糞女がっ! お母さまは何も悪くないのに! それなのに……!」
「ふふっ……貴女それ、本気で言ってるの?」
メアリーの罵倒を聞きながら、あたしは高笑いが止まらなかった。
「何を今更……あたしは悪魔と契約した女だもの。そんな風に言われたところで褒められてるとしか思わないわよ?」
泣き喚くメアリーを見ながら、ラファエルはオロオロするばかり。
全く、顔だけが取り柄の男はこれだから使えない。あたしは小さく嘲笑った。
ダミアンは予め、すべての証拠を押さえていた。
ロズウェルが取引をした商人――――トミーの売買記録も、お父さまの遺書を偽造した人間とそのルートも、義母が隠し持っていた毒物も全て。
人間の法律に基づき、正しく二人を罰するために。
(教えてくれたら良かったのに)
まぁ、その方がダミアンらしいけど。
「アイナ! あんた、よくも……よくもお母さまを!」
そのときだった。
屋敷から連行される義母を見送りながら、メアリーがあたしに向かって声を荒げる。隣にはあたしを捨てたラファエルが、困惑した面持ちで突っ立っていた。
「この悪魔! 人の心を持たない糞女がっ! お母さまは何も悪くないのに! それなのに……!」
「ふふっ……貴女それ、本気で言ってるの?」
メアリーの罵倒を聞きながら、あたしは高笑いが止まらなかった。
「何を今更……あたしは悪魔と契約した女だもの。そんな風に言われたところで褒められてるとしか思わないわよ?」
泣き喚くメアリーを見ながら、ラファエルはオロオロするばかり。
全く、顔だけが取り柄の男はこれだから使えない。あたしは小さく嘲笑った。