※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
6.【SCOOP】王太子殿下には想い人が居るらしい【殿下付き侍女の取材記録】(1)
王宮が誇る広大で美しいガーデン。この場に集められた十数名の令嬢たちは、咲き乱れる花の如く美しく、『我こそは』という自信と気概に満ち溢れている。
(あぁ、なんてツイているんだろう)
心の中でそう呟きつつ、わたしは密かにガッツポーズを浮かべる。興奮で胸が張り裂けそうなぐらいだ。
「あなた、今日が初めてでしょう? ついてないわねぇ、勤務初日がこんな忙しい日だなんて」
先輩侍女が気の毒そうに、そんな言葉を掛けてくれる。確かに、それが普通の感覚なのだろう。
けれどわたしは、ニヤリと笑いつつ、先輩侍女からお盆を受け取った。
「寧ろ好都合です。是非、わたしに行かせてください。早く仕事を覚えたいので!」
気合十分なことをアピールすると、先輩侍女は驚きつつも、快くわたしを送り出してくれる。
わたしの名前はマイリー・レファレンシア。今日からこの王城で、侍女として働くことになっている。実家は没落寸前だけど一応貴族で、印刷業を営んでいる。16歳の花盛りだ。
(んんっ、あれは!)
先輩方から離れてティーポットの準備をしていると、俄かに周囲が騒めき立つ。見ればそこには、おとぎ話から飛び出してきたかのような、見目麗しい貴公子が立っていた。
「殿下! 本日はお招きいただき、ありがとうございます」
令嬢の一人が我先にと男性に駆け寄る。
(あっ、良い感じ……! 二人とも、しばらくそのまま、そのままっ)
刹那、目頭にググっと力を込め、瞳にその光景を焼き付けた。
『念写』
わたしには、自分の目で見たものを、紙や壁といった面にそのまま写し出す能力がある。どんな精巧な技術を持った画家でも、わたしのこの能力には敵わない。事実を客観的に形に残すという点において、わたしより秀でたものに出会ったことはない。
(どちらの御令嬢だろう。早くリサーチしたい)
興奮に胸をときめかせつつ、何食わぬ顔をして仕事を続ける。その間、視界に殿下を常に入れ、念写のチャンスを逃さないように気を配った。
(あぁ、なんてツイているんだろう)
心の中でそう呟きつつ、わたしは密かにガッツポーズを浮かべる。興奮で胸が張り裂けそうなぐらいだ。
「あなた、今日が初めてでしょう? ついてないわねぇ、勤務初日がこんな忙しい日だなんて」
先輩侍女が気の毒そうに、そんな言葉を掛けてくれる。確かに、それが普通の感覚なのだろう。
けれどわたしは、ニヤリと笑いつつ、先輩侍女からお盆を受け取った。
「寧ろ好都合です。是非、わたしに行かせてください。早く仕事を覚えたいので!」
気合十分なことをアピールすると、先輩侍女は驚きつつも、快くわたしを送り出してくれる。
わたしの名前はマイリー・レファレンシア。今日からこの王城で、侍女として働くことになっている。実家は没落寸前だけど一応貴族で、印刷業を営んでいる。16歳の花盛りだ。
(んんっ、あれは!)
先輩方から離れてティーポットの準備をしていると、俄かに周囲が騒めき立つ。見ればそこには、おとぎ話から飛び出してきたかのような、見目麗しい貴公子が立っていた。
「殿下! 本日はお招きいただき、ありがとうございます」
令嬢の一人が我先にと男性に駆け寄る。
(あっ、良い感じ……! 二人とも、しばらくそのまま、そのままっ)
刹那、目頭にググっと力を込め、瞳にその光景を焼き付けた。
『念写』
わたしには、自分の目で見たものを、紙や壁といった面にそのまま写し出す能力がある。どんな精巧な技術を持った画家でも、わたしのこの能力には敵わない。事実を客観的に形に残すという点において、わたしより秀でたものに出会ったことはない。
(どちらの御令嬢だろう。早くリサーチしたい)
興奮に胸をときめかせつつ、何食わぬ顔をして仕事を続ける。その間、視界に殿下を常に入れ、念写のチャンスを逃さないように気を配った。