※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
***
三十日目。
大臣の汚職疑惑というスキャンダラスな見出しの雑誌が、市場を沸かせた。
まるでその場にいるかのような臨場感溢れる記事。大臣がお金を受け取る、決定的な瞬間まで掲載されている。
記事への反響は大きく、やがてそれは国王の耳にも届くこととなり。
民からの信用を失った大臣は、呆気なく辞任に至ったという。
***
六十日目。
わたしは今も、王城で侍女を続けている。
当然、殿下には洗いざらいぶちまけることになった。だけど、彼はわたしを許し、今もお側に置いてくれている。
「マイリーのおかげで汚職問題を一つ片づけられたからね。それに、前国王の重鎮たちの中には、まだまだ怪しい動きをしている人間が多いし」
不満気なホーク様を、殿下はそんな風に説得した。
つまり、わたしの念写能力が今後も役に立つと踏んで、お咎めなしとしてくれたのである。
それどころか殿下は、わたしにお礼をしたいと言ってくれた。
「何が欲しい? 俺が贈れるものなら何でも構わないよ」
そう言って殿下はニコニコと微笑み、わたしの手を恭しく握る。
「欲しいものと言われましても」
正直言って今のわたしは、スキャンダル・ハイというか。
自分が書いた記事で国や民が動いたことが嬉しくて、興奮状態から抜け出せずにいる。それだけでお腹いっぱいで、欲しいものなんて何もない。そうお答えしたのだけど。
「だったらお礼は、俺のお忍び私生活、なんて記事でどう?」
なんと殿下は、自らそんなことを提案してきた。
ビックリし過ぎて、目玉が飛び出るんじゃないかと思ったけど、どうやら本気らしい。何とも朗らかに微笑み続けている。
「どうかな? 大臣の汚職ほどの反響はないと思うけど」
「いっ……いえ! 是非、取材させてください!」
そういうわけで、わたしは、合法的に、殿下を取材できる機会をゲットした。
三十日目。
大臣の汚職疑惑というスキャンダラスな見出しの雑誌が、市場を沸かせた。
まるでその場にいるかのような臨場感溢れる記事。大臣がお金を受け取る、決定的な瞬間まで掲載されている。
記事への反響は大きく、やがてそれは国王の耳にも届くこととなり。
民からの信用を失った大臣は、呆気なく辞任に至ったという。
***
六十日目。
わたしは今も、王城で侍女を続けている。
当然、殿下には洗いざらいぶちまけることになった。だけど、彼はわたしを許し、今もお側に置いてくれている。
「マイリーのおかげで汚職問題を一つ片づけられたからね。それに、前国王の重鎮たちの中には、まだまだ怪しい動きをしている人間が多いし」
不満気なホーク様を、殿下はそんな風に説得した。
つまり、わたしの念写能力が今後も役に立つと踏んで、お咎めなしとしてくれたのである。
それどころか殿下は、わたしにお礼をしたいと言ってくれた。
「何が欲しい? 俺が贈れるものなら何でも構わないよ」
そう言って殿下はニコニコと微笑み、わたしの手を恭しく握る。
「欲しいものと言われましても」
正直言って今のわたしは、スキャンダル・ハイというか。
自分が書いた記事で国や民が動いたことが嬉しくて、興奮状態から抜け出せずにいる。それだけでお腹いっぱいで、欲しいものなんて何もない。そうお答えしたのだけど。
「だったらお礼は、俺のお忍び私生活、なんて記事でどう?」
なんと殿下は、自らそんなことを提案してきた。
ビックリし過ぎて、目玉が飛び出るんじゃないかと思ったけど、どうやら本気らしい。何とも朗らかに微笑み続けている。
「どうかな? 大臣の汚職ほどの反響はないと思うけど」
「いっ……いえ! 是非、取材させてください!」
そういうわけで、わたしは、合法的に、殿下を取材できる機会をゲットした。