交通事故で記憶喪失になった君と、余命一年の私
第1章

懐かしい夢を見た。幼稚園の時の幼い記憶。物心があったのかなかったのかわからないくらいの時の記憶。あれは本当の出来事だったのか、夢なのか..それもわからないくらい記憶にない。でも...無邪気でいれたあの頃の自分。なんだか羨ましかった。

『看護師になりたい』そんな夢はいつしかなくなっていた。今は何になりたいとかわからない。将来の夢がない。だけど、今年中には決めないといけない。進路についてを....

───ピピピピピ.....ピピピピピ.....

「ん....」

枕元にあるスマホの目覚ましが鳴る。

「ん.....ん?」

目覚ましを止めようとしたけど枕元にない。

「え!?私のスマホどこ!?」

急いでベットから降りて部屋中を探す。

「嘘.....どこにあるの!?」

机の上、本棚、枕元.....あとはー.....

「あっ!!そうだった!!」

急いで布団の中を探す。

「あっ!あったーー!!」

いけないっ!嶺緒起こさないと.....

コンコン…

「嶺緒!?起きてる?おーい!」

ガシャンーーえ?何?今の音.....

カチャン…キー

「ふぁぁーー.....おはよ.....」

「おはよ。今日新学期だけど大丈夫そ?」

パンッ!嶺緒が自分のほっぺを叩いた。

隣の家に住む幼馴染謙彼氏の嶺緒…朝がすごく弱くて、早いうちにご飯食べて二度寝するから丁度同じ時間に起きる私が毎日起こしてる。

「大丈夫.....それよりご飯食べなくていいの?」

「え?まだそんな遅くないでしょ?」

「なかなかの時間だよ7時半」

「え?えぇーー!!」

なんで?いつも通り7時に目覚ましかけたのに?

「月葉.....お前さっき30分くらいガチャガチャやってたけどそれじゃないのか?」

「スマホ探してたの!!ってか早く食べないと!」

「待ってるからちゃんと食べろよ」

「分かった!!」

いけないっ!遅刻する。急いで部屋のドアを開け、階段を下っていく。

早くリビングに行って、ご飯は...少しだけでいいか。

嶺緒にちゃんと食べるように言われたけど、今日午前中だけだし大丈夫だと思い、クロワッサン一個だけ食べて部屋に戻った。

クリーニングに制服を出したから綺麗になっている。だけど急いで出してるからぐちゃぐちゃになっちゃう。

ブラウスを着て、スカート履いて.....ネクタイが全然上手くいかない。こうゆう時ネクタイってヤダなんだよね。

急いで着替えて、髪型整えて急いでドアを開けた。外には待ちくたびれて腕を組んで待っている嶺緒の姿があった。

新学期でも嶺緒の制服姿はかっこいい。

「ごめん、待った?」

「大丈夫。そんなに待ってない」

と言いながら駅に向かった。

「今日新学期ってことは、クラス発表されてるよね?」

「そりゃーね、新学期だもん。クラス替えが醍醐味だしね」

「だよね.....今年も同じクラスになれるかな?」

「さー、どうだろうね」

今まで、15年間一度もクラスが離れたことがない私と嶺緒。

今年こそ離れてしまうかもしれない。でも、今年は修学旅行があるからなんとしても同じクラスになりたい。違うクラスになったら、私学校行けないかもしれない。どうしよう.....

「違うクラスになっても学校には来いよ」

「え!?」

「顔に書いてあるぞ。『違うクラスだったら学校に行けない』って」

「うそっ!?顔に出てたぁ!?」

「うん。出てた」


顔に出てたなんて最悪。恥ずかしながら電車に乗った。電車の中では話せないから、沈黙の時間が続いた。


電車を降りると駅から徒歩3分で着く緑丘学園に向かった。

「違うクラスだったとしても、家も隣だし登下校も一緒なんだからあんまし落ち込むなよ」

「うん.....」

学校に着くと下駄箱の前に人だからが出来ていた。私たちもその場所に行った。嶺緒と同じクラスになれますように。そう願いながら目を開けた。

見てみると......

「同じクラスだ.....」

「やったぁー!!」

「やったぁーー!!嶺緒!初めて同じクラスだぁーー!!」

ん!?後ろを向くと大きな声で走ってくる人がいた。

「流。声大きい。でも初めて同じクラスだな」

大きな声で走って来た 青木流(あおきりゅう)

私たちと小学校から一緒のなかなか古い付き合い。そして、嶺緒と流は2人とも同じサッカー部である。

「確かに今まで同じクラスになったことなかったね」

「今年最高!!いい一年になる!!」

流は嶺緒と初めて同じクラスになれたのがよほど嬉しいのかずっと絡んでる。

「つきはーー!!おーい!!」

今度は私の名前を呼んでいる2人が来た。 佐倉瑠奈(さくらるな)前田輝羅(まえだきら)2人も小学校から一緒。

「月葉!私たちも同じクラスだよ!!」

「本当!?やったぁー!!」

「修学旅行も一緒だから嬉しい!!」

私と嶺緒。瑠奈と輝羅、そして流が同じクラスになれたのは幸運だと思う。

5人とも同じ小中一緒だから。

「「「今年一年よろしくね!!!」」」

今日から高校2年生!!最高の一年になりそう!!
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