続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜

第1章 王子様の憂鬱

「……う……ん」

瞼を開ける前から、寝室の大きな窓から差し込む光が眩しくて、既に夜から朝に変わった事を、実感する。

そして、颯のにおいが鼻を掠めて、颯の鼓動が心地いい。

(何時だろ……)

目を擦り、瞳を開ければ、颯の寝顔が、すぐ側にあった。上半身裸の颯は、私の体に、自分の着ていたシャツとスーツのジャケットをかけて、さらに毛布で包んでくれている。

(睫毛長い……)

柔らかい黒髪に、切長の瞳、鼻筋が通っていて、形の良い薄めの唇……。

私は、颯を起こさないように、そっと、颯の唇に人差し指で触れた。

この唇に昨日の夜、何度もキスをされて、このベッドの上で、初めて颯に抱かれた事実に思わず顔が火照る。

下腹部は、まだ僅かに熱を帯びてピリピリとしていた。

(本当に……昨日……私は、颯に抱かれたんだ)

そう考えると途端に、顔が熱くて、自分の頬に手で触れた。時計に目をやれば、8時過ぎている。
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