続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「皆様、お待たせしました。今から、対外業務を30分ほど停止させて、安堂副社長と木野英玲奈の、対談の様子を生配信させて頂きます」

事務所内は、大きな拍手に包まれる。私も、周りに合わせて拍手をすれば、デスクに仰向けで置いてあったスマホが震えた。

ポップアップ通知がすぐに浮かぶ。

『俺だけみて、俺だけ信じてろ』

本当、私のすぐ挫けそうになる弱い心は、颯にはいつだってお見通しだ。

『信じてる』

私は、颯の言葉を何度も目でなぞって、心に刻みつけてから、短く返信した。

総務の女の子達もやってきて、吊り下げ式のプロジェクタースクリーンが準備される。

プロジェクターのすぐ脇に長い足を組んで座った、麗夜が、リモコンを操作すると、颯と、英玲奈の姿が大きく映し出された。

洒落た猫足のアンティークの2人掛けのソファーに、濃いブラウンのスーツにハイブランドの同系色のチェックのネクタイに、真っ白なワイシャツ姿の颯と、肩を露出したベアトップのブラウンチェックのワンピースを見に纏い、真っ赤なハイヒールを履いて、白く細い両足を品よく斜めに揃えている、英玲奈が映し出される。

事務所内は、大きな拍手に包まれ、インタビュアーの女性の話が、始まるとすぐに静かになった。

『では、早速、安堂不動産副社長と、今や10代、20代のカリスマファッションモデルの木野英玲奈さんのお話を伺っていきます。まずは、互いの印象をお伺いしても宜しいでしょうか?』
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