続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「颯とは、小さい頃からの付き合いで、お兄ちゃんみたいな存在だったんですけど、最近は、経営者として、すっごく尊敬してます」

「僕にとっても英玲奈は、妹のような存在ですね。来年オープンのアウトレットには、日本未上陸のブランドをメインにショップの誘致を進めていますので、ファッション業界に、あかるい英玲奈にも、意見を伺って、大いに取り入れたいと考えております」

「勿論だよー、颯の役に立てるなら、英玲奈、何でもがんばるよ」

隣同士に座る英玲奈は、さりげなく、颯にボディタッチをして、甘えた様な視線を向けている。

それに応える様に颯も唇を持ち上げ、微笑んでいる。

(颯だって仕事だから)

会社の為だし、これは仕事の一環だと、嫌というほど分かってるつもりだし、理解もしてる。それでも、何度、そう自分で思い込もうとしても、やっぱり颯が、英玲奈と視線を合わせて、表面上だけでも、親しげに話す映像は、見ていてキツイ。

インタビュアーの女性が、再びマイクを持ち上げた。

『さて、お仕事の話は一度、この辺りにして、お二人のプライベートについても、お伺いしていきたいと思います。ちょうど、来月発売のファッション雑誌『ORION』で、英玲奈さんは、結婚願望が強いと発言されてるとのことでしたが、結婚するなら、どのような男性がタイプですか?』

英玲奈が、顎をひき、少し首を傾けながら、髪を耳にかける。

「えっと……本人の前なので恥ずかしいんですけど、颯みたいな人がタイプです」
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