続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
麻美が、すかさず、私の隣までコロコロと椅子を転がしながら、やってくる。

「颯さん、カッコよかったね」

「……うん、嬉しかった」

麻美に、そう答えただけで、目に涙が滲む。

「麗夜さんも、知らなかったみたいだしね……って、あれどこいくんだろ?」

麻美の視線を追えば、麗夜が、スマホを片手に事務所から、慌てて出ていくのが見えた。

なんだか嫌な予感がするのは、気のせいだろうか?

「私……見てくる」

「美弥、僕も行こうか?」

千歳も同じく麗夜が事務所がら出て行くのを不審に思ったようで、椅子から少し立ち上がって、中腰でこちらを覗いている。

「一人で大丈夫、少し見てくるだけだから」

「美弥、何かあったら、連絡してね」

「うん、ありがとう」

私は、スマホをポケットに突っ込んで、麗夜の後を追った。
< 120 / 262 >

この作品をシェア

pagetop