続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
重たい瞼を、無理やりこじ開ければ、見慣れない白い天井が見える。

(あれ……此処どこだろう……?)

すぐに、私の頬に大きな掌が触れると、視界には、颯の切長の瞳が、映り込んだ。

「美弥?わかる?」

「は……やて」


ーーーーあれ?

私は、どうして、寝てたんだろうか。起きあがろうとして、頭がズキンと痛む。思わず、手のひらで、触れれば、頭に包帯が巻かれていて、腕には、点滴の管が入れられていることに気づく。

「頭打ってるから、あと足の捻挫」

あぁ、そっか。麗夜と、非常階段で揉み合いになって、階段から転がり落ちたんだ。落ちる前のことは、ぼんやり思い出したけど、落ちてからのことは、全く記憶がない。

「美弥、ごめんな」 

ゆっくり起き上がった、私を支えながら、颯が、いつもより、もっと大事に、そおっと私を包み込む。

颯の匂いに安心したら、途端に涙が転がり落ちた。
颯に会いたかった。
会いたくてたまらなかった。

「本当ごめんな。ごめん……」

「颯は、悪くないもん。私が、鈍臭いから……」

「俺のせいだ。こんなことなるなら、美弥を同伴させとけば良かった」

颯の声が、震えてるのが分かった。きっと私が階段から落ちたと聞いて、大急ぎで駆けつけてくれたんだろう。

(あれ?そうだ……誰が、颯に連絡を……?)

だって、颯がこうして、私の前に居るということは、英玲奈の薬を飲まなかったということだ。

ーーーーでも、薬のことは、知ってるのは、私と……。
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