続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
ーーーーピロロロロン

私が、扉を開けば、コンビニ独特の音が聞こえて、思わずクスッと笑った。

エイトイレブンに来たのはいつぶりだろう。

もしかしたら颯にミャーごと連れ帰られてから、自炊することも多く、もしかしたら、一度も来てなかったかもしれない。

「いらっしゃいませー」 

見れば、肩までの黒髪に、ピンク色のインナーカラーがよく似合う若い女の子が、レジに立っている。

私はカゴに、つわり中でも、たべやすいサラダと、梅干しのおにぎりを入れた。

(明日の分も買っておこうかな)

追加で、サラダとハムと胡瓜のサンドイッチを入れて、レジに向かおうとした時、店の奥から、低い男性の声が聞こえてくる。


梨花(りか)ちゃん、今日もバイトの応募なかった?」

「ないですよー」

チラッと見れば、メガネをかけた店長とおぼしき男性が、頭を掻いている。

鈴木(すずき)店長ー、今時、他のバイトと比べて低時給のコンビニで、バイトしてくれる人なんて、この田舎でそうそう居ないと思いますけど?」

「ダメかなぁ。この店の二階の部屋空いてるから、何なら住み込みでもいいんだけどな。貧乏学生……最近は居ないか?」

「ですね」

梨花と呼ばれた店員の女の子と店長の言葉に釘付けになる。

私はすぐさま、レジに直行して、九十度に頭を下げた。

「あのっ、此処で住み込みのバイトさせてくださいっ」

「えっ!?」

私の言葉に目を丸くした梨花が、レジのスキャナーを落っことした。
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