続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
美弥が居なくなってから、もう2週間程経つ。
俺は、願掛けのように毎日つけている、美弥から貰ったネクタイを少しだけ緩めた。
「美弥……」
和志から、教えて貰った町の不動産会社を片っ端から、電話したが、綾乃美弥名義で借りられた部屋は無かった。
美弥の事だ。
出産までに少しでもお金を稼いでおこうと、働く事も想定して、俺は、念のため、スーパーやコンビニなど、美弥が働きそうな店へもしらみ潰しに電話をかけたが、なしの礫だった。
ここまでくれば、もはやプロに任せるのが一番かと思い、探偵も雇って探させているが、未だ有力な情報は入ってこない。
「……何処に隠れてんだよ……」
俺は、自宅から持ってきた、ペンギンのぬいぐるみを片手にじっと見つめた。
『ペンギンって、お父さんとお母さんが卵を交代で温めて、羽化するまで、卵から決して目を離さずいつも側にいるの……もしいつか子供が産まれたら、愛情深く、育ててあげたいなぁ』
美弥の声が、何処からか聞こえてくる。
俺は深くため息を吐き出した。