続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「冬宮さんっ!」

「え?美弥ちゃん?!」

颯に、お姫様抱っこをされている私を見て、二人が驚き、すぐに怪訝な顔をした。

「えっと、冬宮さん、お知り合い?」

「店長、僕が、このコンビニの店内商品全部買い取りますので、今すぐ、彼女を辞めさせてください。商品は、着払いで安藤不動産本社に送りつけてください」

「え、何なんですか、貴方……」

鈴木店長が、戸惑いながら、私と颯の顔を交互に見ている。

「えっ……美弥ちゃん、この王子様みたいな人もしかして……」

鈴木店長の隣にいる、勘の良い梨花は、颯を眺めながら、少しだけ頬を染めている。

「あ、あのこの人は……」

「安堂颯と申します。美弥の婚約者で、お腹の子の父親です」

私は、思わず、口元を覆う。

颯が、お腹の子の事を知ってるなんて、思いも寄らなかった。

颯は、胸ポケットから、一枚の紙を取り出し、鈴木店長に渡す。すぐに鈴木店長が、素っ頓狂な声を上げた。

「えぇっ!こんな額の小切手受け取れません」

「嘘っ!すっご。マジ王子様!」

鈴木店長が、声を上げたと同時に、小切手を横から覗いた梨花が、大きな瞳をさらに大きくした。

「商品代とうちの妻達が、お世話になったお礼です、どうか受け取ってください。本当に有難う御座いました。はい、美弥からもお礼伝えて」

私は、颯に抱かれたまま、挨拶をする。

「あ、の……鈴木店長、梨花ちゃん……短い間でしたが……あの、お世話になりました……」

「じゃあ帰るぞ。失礼します」

颯は、一礼すると、颯爽と扉に向かって歩いていく。
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