続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
私は、未だ茫然としている、店長と梨花に何度も頭を下げながら、颯に抱えられたまま店の外へと出た。

「え?」

「気に入った?」

颯が、にんまり笑う。

颯の視線の先には、どう考えても、エイトイレブンのジャンパーを羽織った私には、似つかわしくない車が停車していた。それは、まるで王子様とお姫様が乗る車……。

「えっと……颯、あれに乗ってきた……の?」

「まあな。実花子に、お姫様のお迎えにピッタリなのにしてもらった」

目の前には、真っ白のリムジンが停車していて、運転手が颯に気づくと、後部座席の扉を開ける。

颯は、私を抱いたまま、車に乗り込んだ。

「こんな……王子様みたいなこと」

「俺、王子様だし。大体お姫様、迎えに来んのにリムジン位普通だろうが」

リムジンは、すぐにゆるりと発車する。

颯が置いてあった、ブランケットに手をかけると、私の上にそっとかけた。

「颯……どして分かったの?」

実質2週間しか離れて居なかったのに、もう何年も颯に会ってなかったかのような錯覚をおこす。

まだ目の前に颯がいる事が、信じられなくて、夢を見ているみたいだ。
< 252 / 262 >

この作品をシェア

pagetop