続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜

「颯っ、歩けるよ」

「だめ、二度と逃がすかよ」

自宅に着いてリムジンから降りるなり、私は、再び、颯にお姫様抱っこをされている。

最上階まで上がるエレベーターの中で、颯が私のエイトイレブンのジャンパー姿を見ながら、ククッと笑った。

「どしたの?」

「まさか、また美弥をコンビニから、持ち帰るなんて思いもしなかったなって」

そうだ。

あの日、私の誕生日に、私は野良猫のミャーと共に、『23時の王子様』に拾われた。

「あの日ね……誕生日だったの」

「知ってたよ」

そう答えると、颯は、少しだけ視線を泳がせた。

「そ、なの?」

「……一回しか言わねぇからな。コンビニで美弥見かけてから……ずっと美弥に声かけようと思っててさ。で、なかなか声かけられなくて……でも、あの日は、美弥の誕生日だし、俺の事なんて全然分からないと思ったけど、どうしても一緒に過ごしたくてさ、跡つけて、勇気振り絞って声かけたって訳……あー……マジで恥ずかしすぎんな」

颯は、珍しく頬を染めると、指紋認証で扉を開ける。

私は、嬉しくて堪らない。

「ニヤけんな」 

「もう一回言って」

颯が、ずっと私に声をかけようとしてくれてたなんて知らなかった。

「ばか。言えるかよ」

私達は、おでことおでこをコツンと当てると、暫く笑い合った。
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