続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
そして、颯がようやく私を下ろすと同時に、ミャーがトテトテと走ってきて出迎えてくれる。

「ミャー!」

私は、ミャーを抱き抱えると、何度も何度も頬擦りをして、小さな額を撫でた。

「ミャー、これからは、俺ら家族ずっと一緒だからな」

颯が、ミャーの首元を人差し指で掻いてやるとミャーが嬉しそうに目を細めて、ゴロゴロと喉を鳴らした。

「さてと、美弥来いよ」

颯は、私の手を引いてリビングに連れてくると、片膝をつく。

その姿は、まるで、シンデレラを迎えに来た王子様そのものだ、

「え……颯……?」 

そして、颯は、スラックスのポケットから、白い小さな箱を取り出すと、私に向かって、その箱を開いた。

そこに輝いているのは、夜空のお星様を一つ堕としてリングにつけたかのように、眩い白銀の光を放っている。

「俺と、結婚してください」

止まっていた涙は、大粒の涙となって、床に転がっていく。

「また泣くのかよ……ほら、早く涙拭いてやるから。さっさと返事しろ」

「……こんな……私で良かったら……ひっく……」

颯は、立ち上がると、私の左手をとり、薬指に大粒のダイヤモンドのリングをそっと嵌めた。

「おいで」

颯に体を抱きしめられて、颯の鼓動が、私の鼓動に応えるように伝染してくる。

止まらなくなった大粒の涙は、全て颯が唇で掬っていく。

「もう二度と離さない」

「……颯、離さないで……」


ーーーー壁掛けのアンティーク時計が、23時を告げる。

私達は、その夜、心と体も一つになるように、何度もキスを繰り返してから、抱き締めあったまま眠りについた。

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