続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
『どした?泣きそうだった?』 

ポタンと、颯のメッセージの上に、一粒涙が転がった。

どうして分かっちゃうんだろう。早く会いたい。朝も、颯の側に居たのに、もう颯に会いたくて堪らなくなる。

『大丈夫。泣いてないよ。颯に早く会いたい』

いつもなら、恥ずかしくて、こんな風に素直にメッセージを送ることは、少ない私だけど、今だけは、言葉にしておきたかった。

そうじゃないと、今すぐにでも、颯に会いたい気持ちが、抑えられなくなりそうで。

『帰り、迎えにいってやるからな』

そして、画像が一枚添付される。

「これ……」 


ーーーーいつの間に、撮っていたんだろうか。

颯と初めて動物園に行った時の私の横顔の写真だ。ペンギンを眺めていて、目線は、こちらに向いていないが、頬を染めながら、嬉しそうに笑っている自分が、写っていた。

『可愛いだろ、俺の猫。早く会いたい』

ついさっきまで、空を見上げなきゃ、落っこちてしまいそうだった涙は、颯のメッセージ、一つで笑顔に変わる。

私は、何度も、颯の『会いたい』の文字をなぞると、スマホを手提げバックに入れて、大きく深呼吸して、立ち上がった。

空を見上げれば、さっき見上げた時よりも、もっと高く青く、澄み切って見えた。
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