続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
玄関先から、低く落ち着いた、年配の男性の声と颯の声が、小さく聞こえて、その声は、段々と近づいてくる。

私は、とりあえず髪を手櫛で整えると、自分のチェストから白のタートルネックのニットを取り出して、颯からプレゼントしてもらった、キャメルのロングスカートを履くと、寝室の扉を開けた。

ほぼ、同時に、リビングのドアが開いて颯と、スーツ姿の長身の男性が入ってくる。

50歳位だろうか?颯とよく似た切長の瞳で背が高く、顎には整えられた髭があり、ロレッスクの時計が光る。

「美弥、おいで」

一瞬、こちらに気づいた男性の顔が、曇ったのが分かった。

ダイニングテーブルに向かう、颯に呼ばれて、私は俯きがちについていく。

「で?朝っぱらから何の用だよ」

3人が、着席したタイミングで颯が、声を発した。
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