続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「千歳も同伴だから」

「……だよな」

取引先の一つである建築資材の販売及び、建造物建築業全般を扱う松原(まつばら)工業は、星川建設との繋がりも深く、今回のアウトレット建設でも、建築材料のほとんどを松原工業から仕入れることになっている。今日の顔合わせは、俺は勿論、現場で指揮を取る千歳も来なければ話にならない。

千歳に手伝ってもらいながら、なんとか美弥を一人で帰す日は、なかったが、今日は、さすがに無理だ。

「颯……本当、いつから女に溺れるようになった訳?呆れて物も言えないわ」

「引いた?」

「当たり前でしょっ!」

実花子は、くるりと背を向けると颯爽とピンヒールを鳴らしていく。

(あれ……?)

「……なぁ、実花子、男でもできた?」

「はぁっ?!何で?」

振り返った実花子が、アーモンド型の瞳をきゅっと細める。
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