続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「香水、変えただろ?」

実花子が、一瞬、目を見開いた。

「セクハラだから!」

バタンと、一際大きな音を立てて、雑に扉が閉められる。

(分かりやす……)

本人は、無意識みたいだが、実花子は、男が変わるたびに、香水やシャンプーの匂いが変わる。今日、実花子がつけてきた香水は、長らく俺と付き合っていた時から、つけていた香水とは違っていた。

(実花子の新しい男か……)

気づけば、実花子が淹れてきてくれたコーヒー片手に、何処となく、ほっとしている自分が居た。実花子の、あの涙を見てから、小さな罪悪感が消える事なく、いつも心の片隅にあったから。俺が、言えた義理じゃないが、実花子自身が、素直に泣いたり怒ったり出来て、実花子を心から大事にしてくれる男と幸せになって欲しい。


ーーーーコンコン。


「はい、どーぞ」

(北沢だな、今日の接待のことか……)

聞こえてきたノックの音に、俺は、気だるく返事をする。

そして、開かれた扉を見て、俺は思わず立ち上がっていた。

「朝から眠そうだね、颯」

「麗夜っ……何しに」

更に、俺は、麗夜の後ろから一緒に入ってきた女を見て、舌打ちしそうになった。

「颯ー久しぶりっ」
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