【コミカライズ連載中】年齢制限付き乙女ゲーの悪役令嬢ですが、堅物騎士様が優秀過ぎてRイベントが一切おきない
17 殿下に呼び出されました
ロベリアは、女子寮の入口でレナと分かれ、リリーと一緒に食堂へと向かった。
食堂といっても、王族や貴族だけが通える学園内にある食堂なので、高級レストランのような作りになっている。
リリーと楽しくおしゃべりしながら食事を終わらせると、ダグラスに声をかけられた。
「ロベリア様、少しよろしいでしょうか?」
「ダグラス様!?」
リリーは、ダグラスに怯えているのかロベリアの背中に隠れた。そんなリリーを気にすることなく、ダグラスは「カマル殿下がお呼びです」と淡々と告げる。
「カマル殿下が、私をですか?」
ロベリアが念のため「リリーではなく?」と確認すると、ダグラスは「殿下は、ロベリア様だけをお呼びです」という返事が返ってくる。
(こんな時間になんの用なの? できるだけ攻略対象者とは関わり合いたくないんだけど……。でも、殿下の呼び出しを断るわけには……)
黙り込んだロベリアにリリーが背後から抱きついた。
「いってらっしゃい、お姉様!」
「え? いえ、もう時間も遅いし……」
なぜか満面の笑みのリリーは「早く行かないとカマル殿下に失礼よ」とロベリアの背中をグイグイと押してくる。
「わ、分かったわ。じゃあ、少しだけ行ってくるから、リリーは気をつけて寮まで帰ってね」
「うん!」
可愛らしいリリーを見て、ロベリアは『まぁ、リリーが呼び出されるよりかはいいわよね』と思った。
(それに、ダグラス様も一緒なら、おかしなことにはならないでしょうし)
ロベリアが「分かりました。ご案内ください」とダグラスに伝えると、ダグラスからは「はい」と無機質な返事が返ってくる。
(はぁ……ハンカチを渡しても、無理やりだったから、少しもダグラス様の好感度は上がっていないのね)
黙々と前を歩くダグラスの広い背中を見つめながら、ロベリアは深いため息をついた。
(ダグラス様って、どんな女性が好きなのかしら?)
ダグラスは、ゲーム主人公のリリーと恋に落ちる攻略対象者ではないので、女性の好みが分からない。女性の好みだけではない。よくよく考えると、ロベリアは、ゲームの知識以外のダグラスのことをまったく知らない。
(うーん、考えても仕方がないわね。本人がいるんだから、直接聞いてみましょう)
ロベリアはダグラスの背中をツンツンと指でつついた。
「あの、ダグラス様」
「っ!?」
ダグラスは大げさに飛びのいて、ものすごい勢いでこちらを振り返る。
「だ、ダグラス様? えっと……驚かせて、すみません……?」
「い、いえっ!」
ダグラスは、左手で顔を隠すように押さえると、思いっきりロベリアから顔をそむけた。
(なるほど……ダグラス様は、私の顔も見たくないと……)
悲しい現実に泣きたくなったが、今は泣いている場合ではない。
(リリーにも言われたし、現実のダグラス様にしっかり向き合わないと)
ロベリアは覚悟を決めた。
「あの、ダグラス様は、どういう女性がお好きですか?」
ダグラスは、身体をビクッと震わせたあとに、恐る恐るロベリアを見た。長い前髪の隙間から見える黒い瞳は動揺している。
それきり沈黙が続いて、ロベリアが答えてもらうのを諦めようとしたころにダグラスは口を開いた。
「わ、私は……」
「はい!」
ロベリアが期待に溢れた瞳を向けると、またフイっと顔をそむけられてしまう。
「か、可憐で! 瞳が新緑のように美しく……。その、声をかけていただけるだけで私には恐れ多く……」
ダグラスの声はドンドン小さくなっていき、最後のほうは聞き取れなかったが、赤くなっているダグラスの耳を見て、ロベリアはハッと気がついた。
(ダグラス様は、もうすでに気になる女性がいるのね!?)
ダグラスの想い人は、可憐で緑の瞳で、声をかけてもらえるだけで光栄だと思える女性だそうだ。
(緑の瞳って、私もそうだけど……)
ロベリアの外見は、派手で性格のきつそうな顔をしているので可憐とは程遠い。
(分かっていたけど……)
悲しいと同時に、『やっぱり私じゃ無理なのね』とあきらめの気持ちが湧いてくる。
「……そうですか。教えてくださり、ありがとうございました」
ニコリと無理に笑顔を作るとロベリアは、ダグラスに「殿下の元へご案内ください」と会釈した。
「ロ、ロベリア様?」
「はい」
作り笑いでニコニコと微笑みかけるとダグラスは戸惑いながらも「こちらです」と案内してくれる。
部屋の前は、カマルにお目にかかりたいと思っている女生徒たちで溢れていたが、ダグラスの登場で女生徒たちは蜘蛛の子を散らすようにサァとさっていった。
扉を開いたダグラスに「どうぞ」と中に入るようにうながされる。
ロベリアが中に入ると、ソファーに座っていたカマルはわざわざ立ち上がった。
「よく来たね、ロベリア」
「ご招待くださり、ありがとうございます」
ロベリアが淑女らしい礼をとると、カマルは「ロベリア、楽にしてほしい」と言い、カマルの側に控えようとしたダグラスに「ダグラス、少し席を外してくれ」と言った。
「「え?」」
ロベリアとダグラスの声が重なる。
カマルは「ロベリアと二人だけで話したいことがあるんだ」と、完璧王子の名に相応しく光輝くような笑みを浮かべた。
食堂といっても、王族や貴族だけが通える学園内にある食堂なので、高級レストランのような作りになっている。
リリーと楽しくおしゃべりしながら食事を終わらせると、ダグラスに声をかけられた。
「ロベリア様、少しよろしいでしょうか?」
「ダグラス様!?」
リリーは、ダグラスに怯えているのかロベリアの背中に隠れた。そんなリリーを気にすることなく、ダグラスは「カマル殿下がお呼びです」と淡々と告げる。
「カマル殿下が、私をですか?」
ロベリアが念のため「リリーではなく?」と確認すると、ダグラスは「殿下は、ロベリア様だけをお呼びです」という返事が返ってくる。
(こんな時間になんの用なの? できるだけ攻略対象者とは関わり合いたくないんだけど……。でも、殿下の呼び出しを断るわけには……)
黙り込んだロベリアにリリーが背後から抱きついた。
「いってらっしゃい、お姉様!」
「え? いえ、もう時間も遅いし……」
なぜか満面の笑みのリリーは「早く行かないとカマル殿下に失礼よ」とロベリアの背中をグイグイと押してくる。
「わ、分かったわ。じゃあ、少しだけ行ってくるから、リリーは気をつけて寮まで帰ってね」
「うん!」
可愛らしいリリーを見て、ロベリアは『まぁ、リリーが呼び出されるよりかはいいわよね』と思った。
(それに、ダグラス様も一緒なら、おかしなことにはならないでしょうし)
ロベリアが「分かりました。ご案内ください」とダグラスに伝えると、ダグラスからは「はい」と無機質な返事が返ってくる。
(はぁ……ハンカチを渡しても、無理やりだったから、少しもダグラス様の好感度は上がっていないのね)
黙々と前を歩くダグラスの広い背中を見つめながら、ロベリアは深いため息をついた。
(ダグラス様って、どんな女性が好きなのかしら?)
ダグラスは、ゲーム主人公のリリーと恋に落ちる攻略対象者ではないので、女性の好みが分からない。女性の好みだけではない。よくよく考えると、ロベリアは、ゲームの知識以外のダグラスのことをまったく知らない。
(うーん、考えても仕方がないわね。本人がいるんだから、直接聞いてみましょう)
ロベリアはダグラスの背中をツンツンと指でつついた。
「あの、ダグラス様」
「っ!?」
ダグラスは大げさに飛びのいて、ものすごい勢いでこちらを振り返る。
「だ、ダグラス様? えっと……驚かせて、すみません……?」
「い、いえっ!」
ダグラスは、左手で顔を隠すように押さえると、思いっきりロベリアから顔をそむけた。
(なるほど……ダグラス様は、私の顔も見たくないと……)
悲しい現実に泣きたくなったが、今は泣いている場合ではない。
(リリーにも言われたし、現実のダグラス様にしっかり向き合わないと)
ロベリアは覚悟を決めた。
「あの、ダグラス様は、どういう女性がお好きですか?」
ダグラスは、身体をビクッと震わせたあとに、恐る恐るロベリアを見た。長い前髪の隙間から見える黒い瞳は動揺している。
それきり沈黙が続いて、ロベリアが答えてもらうのを諦めようとしたころにダグラスは口を開いた。
「わ、私は……」
「はい!」
ロベリアが期待に溢れた瞳を向けると、またフイっと顔をそむけられてしまう。
「か、可憐で! 瞳が新緑のように美しく……。その、声をかけていただけるだけで私には恐れ多く……」
ダグラスの声はドンドン小さくなっていき、最後のほうは聞き取れなかったが、赤くなっているダグラスの耳を見て、ロベリアはハッと気がついた。
(ダグラス様は、もうすでに気になる女性がいるのね!?)
ダグラスの想い人は、可憐で緑の瞳で、声をかけてもらえるだけで光栄だと思える女性だそうだ。
(緑の瞳って、私もそうだけど……)
ロベリアの外見は、派手で性格のきつそうな顔をしているので可憐とは程遠い。
(分かっていたけど……)
悲しいと同時に、『やっぱり私じゃ無理なのね』とあきらめの気持ちが湧いてくる。
「……そうですか。教えてくださり、ありがとうございました」
ニコリと無理に笑顔を作るとロベリアは、ダグラスに「殿下の元へご案内ください」と会釈した。
「ロ、ロベリア様?」
「はい」
作り笑いでニコニコと微笑みかけるとダグラスは戸惑いながらも「こちらです」と案内してくれる。
部屋の前は、カマルにお目にかかりたいと思っている女生徒たちで溢れていたが、ダグラスの登場で女生徒たちは蜘蛛の子を散らすようにサァとさっていった。
扉を開いたダグラスに「どうぞ」と中に入るようにうながされる。
ロベリアが中に入ると、ソファーに座っていたカマルはわざわざ立ち上がった。
「よく来たね、ロベリア」
「ご招待くださり、ありがとうございます」
ロベリアが淑女らしい礼をとると、カマルは「ロベリア、楽にしてほしい」と言い、カマルの側に控えようとしたダグラスに「ダグラス、少し席を外してくれ」と言った。
「「え?」」
ロベリアとダグラスの声が重なる。
カマルは「ロベリアと二人だけで話したいことがあるんだ」と、完璧王子の名に相応しく光輝くような笑みを浮かべた。