【コミカライズ連載中】年齢制限付き乙女ゲーの悪役令嬢ですが、堅物騎士様が優秀過ぎてRイベントが一切おきない
【ダグラス視点】決意を新たに
ダグラスは、自身の腕の中で微笑むロベリアを信じられない気持ちで見つめていた。白い頬を淡いピンク色に染めた女神は、まるで愛猫のようにダグラスの胸元にすりよってくる。
(ロベリア様が、私を……選んでくれた?)
ロベリアのかぐわしい香りと温かな体温がこれは夢ではないと教えてくれる。新緑のような瞳がダグラスだけを映して微笑んでいた。
そのことに気がつくと、ダグラスは今まで味わったことのないような強烈な多幸感に包まれた。脳が痺れているのに、ロベリアの身体の柔らかさだけは鮮明に感じている。
何を思ったのかロベリアは『やっぱり私のこと『嫌だ』って言っても、もう離しませんからね?』と魅惑的な表情を浮かべた。
(手放せない。絶対に手放したくない)
これまではカマルの護衛として、カマルの命令には背(そむ)かないと決めていた。カマルはとても思慮深く優秀な指導者なので、ダグラスはその指示に疑問を持つ必要さえなかった。しかし、これからは違う。
(カマル殿下に背(そむ)かない。それだけではいけない。カマル殿下がロベリア様を傷つけるような状況を決して作らせてはいけない)
これからは、主(あるじ)の命令にただ従うのではなく、ロベリアを守るために、政治的局面を見て行動していかなければならないとダグラスは思った。
ディセントラ侯爵家の令嬢ロベリアを守るためには、王家とディセントラ侯爵家の関係も知っておくのは当然のことだし、ディセントラ侯爵家がどのような立ち位置で、どのような政治的主張をしているのかも知る必要がある。
何度も父に言われてきた言葉がダグラスの頭を過ぎった。
――守りたい者ができたとき、強くなるか弱くなるかは、ダグラス、お前次第だ。
今まではその意味を理解できなかったが、絶対に守りたい者ができた今なら分かる。
(父上、私はロベリア様を生涯守りぬくために誰よりも強くなります)
決意を新たにしているダグラスの腕の中で、ロベリアはうっとりしながら「ダグラス様、かっこいいです……もう結婚して……」と呟いた。
その言葉でダグラスは、ロベリアに思いを伝えただけで、まだ婚約すらしていないことに気がついた。
(私としたことが、一人で先走ってしまっていた。もう一生ロベリア様のお側にいるつもりだった。まずはプロポーズをしてロベリア様の意思を確認しなければ)
抱きしめている腕からロベリアを解放して、ひざまずいたままだったダグラスは立ち上がった。そして、ロベリアの細い両肩にそっと手を置く。
「ロベリア様、私と結婚してください!」
ロベリアは美しい瞳を大きく見開いたあと、ふわりと微笑みながら「はい」と答えてくれた。
(よし! あとは両家にこの婚約を認めてもらわなければ)
現実的に考えて、ロベリアの父であるディセントラ侯爵に認めてもらうのは不可能なので、何か手を打たなければならない。
(とりあえず、父に手紙を送って相談するか)
そこまで考えたダグラスは、ふとロベリアの両肩に手を置いたままだと気がついた。視線が合うと、ロベリアは頬を染めながら目を閉じる。
(どうしたのだろうか?)
ダグラスが不思議に思っていると、ロベリアは少し背伸びをして、何かをねだるように目を閉じたまま顔を上に上げた。
(こ、これは……)
ゴクリと生唾を飲み込んだあと、その可憐な唇に吸い寄せられるように顔を近づけて、あと少しで唇が重なる寸前でダグラスは、ある言葉を思い出した。
――ロベリアってさ、貴族なら当然知っている男女の作法を知らないんだよ。すっごく可愛いよね。これからは、ダグラスが優しくいろいろ教えてあげなくちゃね。
それは、ロベリアのことを良く知る幼馴染のアランの言葉だった。
(『男女の作法』が何を指しているのか分からないが、もしかして、ロベリア様は男女間のことを何も知らない可能性はないだろうか?)
瞳を閉じて祈るように両手を組み合わせているロベリアは、神々しく清廉(せいれん)な雰囲気に包まれている。
(あ、あり得る! むしろ、そっちのほうが納得できる! こんな純粋無垢な女神を見て、どうして私は口づけをねだられていると思ったんだ!?)
ダグラスは、ロベリアの両肩を優しく押し返した。
(私のいかがわしい想いを知れば、ロベリア様を怖がらせてしまうかもしれない)
ダグラスは、世界で一番大切な人に「私たちの婚姻が成立するまで、私は決して貴女に手を出しません!」と固い決意を宣言した。
(ロベリア様が、私を……選んでくれた?)
ロベリアのかぐわしい香りと温かな体温がこれは夢ではないと教えてくれる。新緑のような瞳がダグラスだけを映して微笑んでいた。
そのことに気がつくと、ダグラスは今まで味わったことのないような強烈な多幸感に包まれた。脳が痺れているのに、ロベリアの身体の柔らかさだけは鮮明に感じている。
何を思ったのかロベリアは『やっぱり私のこと『嫌だ』って言っても、もう離しませんからね?』と魅惑的な表情を浮かべた。
(手放せない。絶対に手放したくない)
これまではカマルの護衛として、カマルの命令には背(そむ)かないと決めていた。カマルはとても思慮深く優秀な指導者なので、ダグラスはその指示に疑問を持つ必要さえなかった。しかし、これからは違う。
(カマル殿下に背(そむ)かない。それだけではいけない。カマル殿下がロベリア様を傷つけるような状況を決して作らせてはいけない)
これからは、主(あるじ)の命令にただ従うのではなく、ロベリアを守るために、政治的局面を見て行動していかなければならないとダグラスは思った。
ディセントラ侯爵家の令嬢ロベリアを守るためには、王家とディセントラ侯爵家の関係も知っておくのは当然のことだし、ディセントラ侯爵家がどのような立ち位置で、どのような政治的主張をしているのかも知る必要がある。
何度も父に言われてきた言葉がダグラスの頭を過ぎった。
――守りたい者ができたとき、強くなるか弱くなるかは、ダグラス、お前次第だ。
今まではその意味を理解できなかったが、絶対に守りたい者ができた今なら分かる。
(父上、私はロベリア様を生涯守りぬくために誰よりも強くなります)
決意を新たにしているダグラスの腕の中で、ロベリアはうっとりしながら「ダグラス様、かっこいいです……もう結婚して……」と呟いた。
その言葉でダグラスは、ロベリアに思いを伝えただけで、まだ婚約すらしていないことに気がついた。
(私としたことが、一人で先走ってしまっていた。もう一生ロベリア様のお側にいるつもりだった。まずはプロポーズをしてロベリア様の意思を確認しなければ)
抱きしめている腕からロベリアを解放して、ひざまずいたままだったダグラスは立ち上がった。そして、ロベリアの細い両肩にそっと手を置く。
「ロベリア様、私と結婚してください!」
ロベリアは美しい瞳を大きく見開いたあと、ふわりと微笑みながら「はい」と答えてくれた。
(よし! あとは両家にこの婚約を認めてもらわなければ)
現実的に考えて、ロベリアの父であるディセントラ侯爵に認めてもらうのは不可能なので、何か手を打たなければならない。
(とりあえず、父に手紙を送って相談するか)
そこまで考えたダグラスは、ふとロベリアの両肩に手を置いたままだと気がついた。視線が合うと、ロベリアは頬を染めながら目を閉じる。
(どうしたのだろうか?)
ダグラスが不思議に思っていると、ロベリアは少し背伸びをして、何かをねだるように目を閉じたまま顔を上に上げた。
(こ、これは……)
ゴクリと生唾を飲み込んだあと、その可憐な唇に吸い寄せられるように顔を近づけて、あと少しで唇が重なる寸前でダグラスは、ある言葉を思い出した。
――ロベリアってさ、貴族なら当然知っている男女の作法を知らないんだよ。すっごく可愛いよね。これからは、ダグラスが優しくいろいろ教えてあげなくちゃね。
それは、ロベリアのことを良く知る幼馴染のアランの言葉だった。
(『男女の作法』が何を指しているのか分からないが、もしかして、ロベリア様は男女間のことを何も知らない可能性はないだろうか?)
瞳を閉じて祈るように両手を組み合わせているロベリアは、神々しく清廉(せいれん)な雰囲気に包まれている。
(あ、あり得る! むしろ、そっちのほうが納得できる! こんな純粋無垢な女神を見て、どうして私は口づけをねだられていると思ったんだ!?)
ダグラスは、ロベリアの両肩を優しく押し返した。
(私のいかがわしい想いを知れば、ロベリア様を怖がらせてしまうかもしれない)
ダグラスは、世界で一番大切な人に「私たちの婚姻が成立するまで、私は決して貴女に手を出しません!」と固い決意を宣言した。