【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
① 婚約破棄された令嬢は
「お前は最低の女だな」
「‥‥!?」
「公爵家の令嬢として恥ずかしく思わないのか」
「は‥‥?」
自分婚約者の言葉に唖然として言葉が出なかった。
隣に寄り添うのはレイチェル・ラランド。
ノエリアの義理の姉だった。
姉と言ってもレイチェルとは同じ歳である。
再婚したラランド公爵の後妻であるドロシーの連れ子である彼女は、次々にその可愛らしい容姿と要領の良さでノエリアの居場所を奪っていった。
レイチェルはとても愛想が良かった。
ドロシー同様、ラランド公爵にとても愛されていた。
そして、弟であるハイメにも。
一方、ノエリアは政略結婚で結婚した2人の両親の元に生まれた。
よくある話ではあるが、殺伐とした冷めた家でノエリアは次期王妃として厳しく育てられていた。
それはラランド公爵とカリ王国国王ハワードとの間に決められた約束だった。
ノエリアとこの国の王太子であるホールデンとの婚約は幼い頃から決まったものだった。
ノエリアは王妃になる為だけに育てられた。
(わたくしに選択肢など初めから無かったわ‥)
ハワードは今の王妃と婚約するまでにハワードの婚約者の座を狙い令嬢達の間で争いが起きた。
時には血が流れることもあった為、息子の時は初めから決まった相手と‥と決めていたらしい。
「何を‥仰っているのか分かりません」
「知らないフリをするつもりか?」
「‥‥説明をお願い致します」
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