【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
④婚約者の浮気現場に遭遇致しました……勘違いなさっているようですがお別れですよ?
「少々、結婚式について確認があるのですが…」
「あっ…今、レンティル様は……」
口籠る侍女達を見て、わたくしは首を傾げました。
わたくしは今、自分の婚約者であるマベール侯爵の嫡男であるレンティル様の元を訪れています。
レンティル様は月の貴公子と呼ばれ、女性に常に囲まれているような方でした。
月のように輝く金色の髪と琥珀色の瞳は、見るものを虜にするそうです。
わたくしには縁遠い方だな…と、いつも遠くから眺めておりました。
しかし、父から「そろそろ婚約者を決めてはどうだ?」と言われたわたくしは、気の進まない縁談を受け入れました。
その相手というのが、レンティル様でした。
レンティル様はわたくしを気に入ったと言って「結婚してくれないか?」と跪いて告白して下さいました。
わたくしはレンティル様に問いました。
「わたくしで、いいのですか……?」