【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
まるで何かの演劇を見ているかのようです。
レンティル様はどうやらシャーロット様ではなく、わたくしを選ぶつもりのようです。

レンティル様の言葉を聞いたシャーロット様は大きく目を見開きました。
その後、俯きながら体を大きく震わせます。

そして、レンティル様に思いきり張り手をしたシャーロット様はそのまま去っていきました。

余りにも可哀想で見ていられません。

その場に取り残されたわたくしは、どうしようかと迷いましたが、シャーロット様の後に続いて去ろうとした時でした。


「どこに行くんだ、リディア!?」

「……?家に帰るのです」

「お茶でもどうだ?……見苦しいところを見せてしまってすまない」

「……」

「結婚式の資料がバラバラになってしまったね。直ぐに新しいものを用意させよう」


まるで何事もなかったかのように笑顔を浮かべるレンティル様……。
恋愛経験が少ないわたくしにも理解出来ました。


この人はクズだと。

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