【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
わたくしは溜息を吐き出しました。
いちいち説明しないと伝わらないようです。
「わたくしとレンティル様は婚約関係にありました」
「あぁ、そうだ!」
「ですが、レンティル様は幼馴染のシャーロット様と関係を持ち、結婚の約束をしていたのですよ?」
「だから今、シャーロットの事は諦めたじゃないか!!」
「……」
わたくしは溜息を吐きました。
レンティル様に理解して頂くには根気が必要なようです。
「……婚約期間中に他の御令嬢と関係を持った事自体、契約違反ですわ」
「!?」
「不貞行為を行った自覚はないのでしょうか?」
わたくしがハッキリと申し上げたことで、事態の深刻さが少しは伝わったようです。
しかし次の瞬間、レンティル様は信じられないようなことを口にしました。
「そ、そんなのリディアが黙っていれば……」
「……」
「この事は黙っていてくれないか…!?なぁ、頼むから」