【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
わたくしが黙っていて、何のメリットがありましょうか。

何故頼まれただけでわたくしがレンティル様の言う事を聞かなければならないのでしょう。
そもそも反省も謝罪もないとなれば、許す気は微塵も起きません。





「わたくしはお父様に報告して、婚約を破棄させて頂く所存です」






レンティル様が何を言ったところで、わたくしの意見は変わりません。
やっと状況が把握出来たのでしょうか……レンティル様の顔に焦りが滲みます。


「だとしても、もう結婚式の準備を進めているだろうッ!?」

「まだ大丈夫ですわ」

「大丈夫じゃない!招待客だって…っ」

「まだお母様がドレスを迷っていた最中ですし、招待状も送っておりません……婚約破棄をすれば間に合いますのでご心配なく」


そもそも結婚式の準備はわたくし達に丸投げです。
そしてレンティル様はシャーロット様と乳繰りあっていたとあれば、苛立ちは倍増です。

わたくしはレンティル様と結婚せずに済んで心から安心しています。
それに結婚式がもし行われたとしても、無事に終わる事はなさそうです。
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