【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
そんな推しを責め立てるのは三人の赤、黄、青の信号機のような髪色をした顔が無駄にいい男達。
そんな男達に囲まれて、桃色の髪の少女は瞳を潤ませて怯えるように服を掴んでいる。


「あ、あの……わたし怖いです」

「あぁ、愛しいチェリー……直ぐにコイツを排除してやるからな」

「大丈夫だ、俺達が守ってやる!」

「安心して下さい!僕に任せて」


上からこの国の王太子ナシール、騎士団長の息子のトレ、宰相の息子ダンテ。
身分の高い奴等を誑かしまくるチェリー・プラナイト。

チェリーは今、過激な嫌がらせを受けている。
その理由は、これだけの身分が高く将来有望な令息達を籠絡しているからに他ならない。

そんなチェリーは令息達のファンが兎に角多く、不気味なラブレターや過剰なアピールが多くあるそうだ。
しかしそれはペタペタと無意味なボディータッチを繰り返すチェリー自身が蒔いた種なのである。

それを「助けて」「怖い」と言うだけで、言う事を聞く奴らがいるのだから、さぞ人生は楽しい事だろう。
実際、元平民でありながら学園で大層いい身分を築き上げている。

そのチェリーに付き纏っている犯人にされそうになっているのが、デクラン・シェルジェである。

だがしかし、デクランはチェリーが落としたハンカチを拾い上げて届けようとした時に、そのドジさ故にちょっと躓いてしまい、そのまま前に倒れ込んだ。

そして「パンツを見たのではないか」という自意識過剰女のせいで、恋に浮かれた馬鹿な男達に一斉に責められている可哀想な男の子なのである。
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