【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
ベルベット皇帝の宝石、国の宝、美の女神……リリアーナは昔からそう呼ばれ、それはそれは大切に育てられた。
娘を溺愛するが故に何も咎めない両親。
傷一つ付けることは許されずに真綿のように大切にされる生活にうんざりとしていた。
感情の起伏がなく、特に喋る事もないリリアーナは、自分が置物のように無機質なものに感じて生きている事を実感出来ずにいたのだ。
そんなリリアーナに息を吹き込んだのが、ナシールとの出会いだった。
レブーロン王国でのパーティーに呼ばれて囲まれていた時のこと……いつものように美しい、素晴らしい、綺麗だというセリフを言われていた時だった。
悪ガキのナシールがやって来て一言。
「何だお前、気持ち悪いな」
と、言ったのだった。
それには周囲が凍り付いたのだが、リリアーナだけは違った。
頭の中で「気持ち悪い」という言葉が響いていた。
リリアーナは内心、ドキドキしていた。
「何故?」
気付いた時にはリリアーナの口から声が漏れていた。
問いかけずにはいられなかったのだ。
「どうして笑わないんだよ?」
「笑う?何故……?」
「ずっと同じ顔をしていて詰まらなくないのか?」
「……別に」
「ふーん、なんかお前人形みたいで不気味だな!」
娘を溺愛するが故に何も咎めない両親。
傷一つ付けることは許されずに真綿のように大切にされる生活にうんざりとしていた。
感情の起伏がなく、特に喋る事もないリリアーナは、自分が置物のように無機質なものに感じて生きている事を実感出来ずにいたのだ。
そんなリリアーナに息を吹き込んだのが、ナシールとの出会いだった。
レブーロン王国でのパーティーに呼ばれて囲まれていた時のこと……いつものように美しい、素晴らしい、綺麗だというセリフを言われていた時だった。
悪ガキのナシールがやって来て一言。
「何だお前、気持ち悪いな」
と、言ったのだった。
それには周囲が凍り付いたのだが、リリアーナだけは違った。
頭の中で「気持ち悪い」という言葉が響いていた。
リリアーナは内心、ドキドキしていた。
「何故?」
気付いた時にはリリアーナの口から声が漏れていた。
問いかけずにはいられなかったのだ。
「どうして笑わないんだよ?」
「笑う?何故……?」
「ずっと同じ顔をしていて詰まらなくないのか?」
「……別に」
「ふーん、なんかお前人形みたいで不気味だな!」