【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
ナシールに悪気は一切なかった。
ニカッと笑って、とどめの一言で「その扇子も趣味悪いな」と言ったのだった。
誰も何も喋れなかった。
この国は終わった……誰もがそう思っていた時だった。
「ぷっ……フフッ」
リリアーナが笑ったのだ。
二人で笑い合う姿を見て、皆時間が止まったかのように動けなかった。
「ほら、笑った方が可愛いぜ!」
そう言ってナシールは嵐のように去っていった。
残されたリリアーナに「大丈夫ですか?」と声を掛ける人々。
それでも先程の事が頭から離れなかった。
帝国に帰った後もリリアーナの頭の中はナシールのことで一杯だった。
寝ても覚めてもナシールが頭から離れなかったリリアーナは本を手に取った。
そしてそこにあった「恋」という文字に釘付けになった。
(わたくしは恋をしているの……?いや、違うわ……この気持ちはきっと)
この気持ちを確かめるためにもう一度ナシールに会いたかった。
しかしリリアーナにはどうする事も出来なかった。
自分は皇女である。
故に自由はない。
そんな時に起こった大旱魃。
幸い、ベルベット皇国は影響を受けなかった。
しかし周囲から送られるSOS……そこにレブーロン王国の国章を見つけて、父から内情を聞いて「レブーロン王国に行きたい」と人生で初めて願いを口にしたのだ。
ニカッと笑って、とどめの一言で「その扇子も趣味悪いな」と言ったのだった。
誰も何も喋れなかった。
この国は終わった……誰もがそう思っていた時だった。
「ぷっ……フフッ」
リリアーナが笑ったのだ。
二人で笑い合う姿を見て、皆時間が止まったかのように動けなかった。
「ほら、笑った方が可愛いぜ!」
そう言ってナシールは嵐のように去っていった。
残されたリリアーナに「大丈夫ですか?」と声を掛ける人々。
それでも先程の事が頭から離れなかった。
帝国に帰った後もリリアーナの頭の中はナシールのことで一杯だった。
寝ても覚めてもナシールが頭から離れなかったリリアーナは本を手に取った。
そしてそこにあった「恋」という文字に釘付けになった。
(わたくしは恋をしているの……?いや、違うわ……この気持ちはきっと)
この気持ちを確かめるためにもう一度ナシールに会いたかった。
しかしリリアーナにはどうする事も出来なかった。
自分は皇女である。
故に自由はない。
そんな時に起こった大旱魃。
幸い、ベルベット皇国は影響を受けなかった。
しかし周囲から送られるSOS……そこにレブーロン王国の国章を見つけて、父から内情を聞いて「レブーロン王国に行きたい」と人生で初めて願いを口にしたのだ。