【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
ホールデンは涙を流すレイチェルの肩を抱く。
そんな2人の関係をノエリアは薄々気付いていた。
気付いたとしてもノエリアには何も出来はしないのだが。

何故ならラランド公爵家は完全にドロシーとレイチェルに乗っ取られているからだ。
どうやら愛想があるレイチェルとは違い、前公爵夫人である母のように淡々としたノエリアは前々から気に入られていなかった。
というよりは、どう接していいのか分からないといった感じだろうか。

弟であるハイメも新しく出来た姉であるレイチェルに夢中だった。
まるで騎士のようにノエリアの前に立ち塞がる事も増えた。

ノエリアの唯一の味方いえば王女であるヘレンくらいだろうか。

ノエリアはラランド公爵家を変えようとか、愛情を取り戻そうとか、そんな前向きな事を考えれる段階では無かった。

全てを諦めていたノエリアは流れるまま過ごしていた。
それがレイチェルとドロシーの思惑を加速させていく。


「お前がレイチェルと公爵夫人を快く思わずに、影で虐げていた話はレイチェルとハイメに聞いていた」

「‥‥身に覚えがありませんわ」

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