【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「わたくしが‥?」

「僕はノエリアと出会っていなければ、寂しい人生を送っていたかもしれないな」

「‥‥」

「もうノエリアが居ない人生なんて考えらないよ」

「ネストール様、ありがとうございます」

「愚かな彼等には感謝しかない」

「‥‥はい」


ノエリアは静かに頷いた。
やはりネストールの隣は、とても居心地が良かった。
何よりもノエリアに居場所と安らぎを与えてくれるネストールの存在が温かく、とても大切だと思えた。


「国や家族を捨てたこと、後悔はない‥?」


ネストールは不安そうにノエリアの頬に指を這わせた。


「ありません」

「‥‥なら良かった」

「あの国に、わたくしが生きていると知らしめる日が楽しみで仕方ありませんわ」

「そうだね、良い復讐だ‥」


ネストールは穏やかに微笑んだ。
ノエリアはネストールの手を握りながら、そっと寄り添ったのだった。










end
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