【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「なんだと!?」

「わたくし達はまだ婚約関係にあります!!何故ならば、まだこの書類を国王陛下に提出していないからです」

「……!!」


もう皆に許可を取ってはおりますが、一応……まだ婚約者であることには変わりはありません。
それなのにも関わらず、コーディ殿下とアンバー様は自分達の仲の良さを周囲にアピールするように体を寄せ合っています。


「それなのに今、アンバー様とこんなにも親密そうにしておりますわ!!」

「な、なんだよ……羨ましいなら」

「いいえ!決して羨ましいなどと思っておりませんわ!!それは声を大にして申し上げておきますッ!!!」

「…………」

「…………」

「ーーゴホンッ!!わたくしが言いたいのは、殿下は今、契約に違反しているということです」

「契約に違反、だと……!?」

「これは明らかな不貞行為ですわ!!」

「はぁ!?」

「コーディ殿下とアンバー様のその行動により、わたくしは王家とペネ子爵家に慰謝料を頂くことが出来ますの。お分かり頂けますか?」
< 56 / 179 >

この作品をシェア

pagetop