【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで

③「申し訳ないんだが、婚約を解消してくれないか?」と言われたので「はい、分かりました。さようなら」

【タイトル】
「申し訳ないんだが、婚約を解消してくれないか?」と言われたので「はい、分かりました。さようなら」 と答えました。



「ヴァレンヌ……申し訳ないんだが、婚約を解消してくれないか?」

「はい、分かりました。さようなら」

「え……?」

「……え?」


こんにちは、ヴァレンヌ・ロレでございます。

只今、わたくしの婚約者であるバレット・マスング様に婚約の解消を求められたので直様了承致しました。

昔から親同士が仲が良く、幼馴染のような関係のバレット様との婚約は自然な流れだったのかもしれません。
今まで至って普通の婚約者として過ごしてきたわたくし達ではありますが、学園の卒業パーティーを迎える一カ月前に嫌がらせの如く、婚約破棄を告げられました。

けれど此処で泣き喚いてもバレット様の心が変わる訳ではございません。
それにわたくしはここで婚約破棄をされても、痛くも痒くもありません。
そもそも少し前からバレット様の様子はどこか違いましたから、前もってある程度の覚悟はしておりました。

それに噂も聞いておりました。
バレット様は最近、ある御令嬢に熱を上げているというものです。

実は、何度かその御令嬢と一緒にいるバレット様をお見掛けしたことがあります。
とても楽しそうにしていらして微笑ましい光景でした。
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