落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
プロローグ
悲劇が起こったのは、私が十二歳、兄が十五歳の時のことである。
生国バーディアに謎の疫病が蔓延し、たくさんの人が命を落とした。
バーディア国の王妃や幼い王太子、そして私の両親もあっけなくこの世を去り、残った者たちは悲嘆に暮れた。
そんな悲しみの中、私、パトリシア・ロックウェルと兄ダルシア・ロックウェルは、二度とこんな悲しいことが起きないようにと、白魔術師ライガンに弟子入りすると決意した。この世界には、癒しや回復系の魔法が主たる聖属性魔術(白魔術)と、火水風などの属性魔術(黒魔術)がある。黒魔術は伝説上の生き物である幻獣しか使えないとされているが、白魔術は才能さえあれば、人間にも習得可能なものだった。
しかし、本当に白魔術師として大成出来るのは片手で数える程度。その更に上位である「賢者」になるには、方法も修行も謎とされ、今は不可能だと考えられている。ライガンはその賢者に一番近い人物と呼ばれ、世界最高峰の白魔術師であった。
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