落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
第一関門は突破。でも問題はここからね。身元を明らかにして、信用してもらわないと。
早足の衛兵のあとを小走りで付いていき、迷路のような王宮を進んでいくと、一際大きい扉の前に着いた。この向こうに国王陛下たちがいる。そう思うと少し緊張した。
「聖騎士ダルシアの妹と名乗る女を連れて来ました」
大声で叫ぶ衛兵の後ろから恐縮しつつ部屋に入ると、正面に二人の男性がいた。豪奢な椅子に座った壮年の男性と、縦長の帽子をかぶった年齢不詳の男。座っているのは国王陛下レオリスで、年齢不詳の男がきっと神官長グラウニクだろう。グラウニクの持つ雰囲気はとても不気味で、背中にゾクッと寒気を感じた。
「パトリシア・ロックウェル。聖騎士ダルシアが不在のため、妹のお前が来た、と衛兵から聞いたが間違いないな」
グラウニクが言った。
「は、はい。書き置きをしましたので、兄もすぐに駆けつけると思います。それまでは力不足ではありますが、私がみなさんの治療を請け負いたいのですが……」
「ほう。そなたも白魔術師と? 治癒魔術が使えると申すか?」
今度は国王陛下が言った。しゃがれた声は少し弱々しい。
早足の衛兵のあとを小走りで付いていき、迷路のような王宮を進んでいくと、一際大きい扉の前に着いた。この向こうに国王陛下たちがいる。そう思うと少し緊張した。
「聖騎士ダルシアの妹と名乗る女を連れて来ました」
大声で叫ぶ衛兵の後ろから恐縮しつつ部屋に入ると、正面に二人の男性がいた。豪奢な椅子に座った壮年の男性と、縦長の帽子をかぶった年齢不詳の男。座っているのは国王陛下レオリスで、年齢不詳の男がきっと神官長グラウニクだろう。グラウニクの持つ雰囲気はとても不気味で、背中にゾクッと寒気を感じた。
「パトリシア・ロックウェル。聖騎士ダルシアが不在のため、妹のお前が来た、と衛兵から聞いたが間違いないな」
グラウニクが言った。
「は、はい。書き置きをしましたので、兄もすぐに駆けつけると思います。それまでは力不足ではありますが、私がみなさんの治療を請け負いたいのですが……」
「ほう。そなたも白魔術師と? 治癒魔術が使えると申すか?」
今度は国王陛下が言った。しゃがれた声は少し弱々しい。