落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
私とパトリシアがいた時のバーディアは、疫病が流行るまで豊かで陽気な国だった。両親を失い、それからふたりで国を離れたあと、バーディアがどうなったかは知らない。ライガンと住んでいたところは、田舎過ぎてなんの情報も入って来なかったのだ。疫病後、うまく建て直せなかったのだろうか? 国王も王妃と王太子を亡くし、失意のどん底にあったと思うが、それは民も同じ。こんな時ほど、民に寄り添い一緒になって国を作っていくことが、君主たるものの役目だと思うのだが。まあ、そんなこと今はどうでもいい。私の目的は、パトリシアの無事を確認することなのだから。
食堂を出ると、真っ直ぐ王宮へ向かった。
大門で衛兵に止められたが、聖騎士ダルシアだと名乗り聖剣を見せると、すんなり中に通された。王宮の外は昔とあまり変わらなかったが、大門を潜った先、式典が行われる広場はガラの悪い輩で溢れている。しかも、なんだか酒臭い。食堂の女主人の言うように寄せ集めの傭兵崩れが相当数いるようだ。
半ば呆れつつ、案内の衛兵のあとを付いていくと玉座の間に到着した。玉座の間には、窶れた風貌の国王と目つきの悪い男が共に私を見下ろしていた。
食堂を出ると、真っ直ぐ王宮へ向かった。
大門で衛兵に止められたが、聖騎士ダルシアだと名乗り聖剣を見せると、すんなり中に通された。王宮の外は昔とあまり変わらなかったが、大門を潜った先、式典が行われる広場はガラの悪い輩で溢れている。しかも、なんだか酒臭い。食堂の女主人の言うように寄せ集めの傭兵崩れが相当数いるようだ。
半ば呆れつつ、案内の衛兵のあとを付いていくと玉座の間に到着した。玉座の間には、窶れた風貌の国王と目つきの悪い男が共に私を見下ろしていた。