落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
呆然とする私に、グラウニクは金の美しい髪の束を差し出してきた。私はそれを受け取り……ただ見つめた。彼らの話が、なにひとつ理解出来ない。パトリシアが死んだ? 馬鹿なことを。妹が死ぬはずがない。私を置いて、死んだりしない!
「悪い冗談はやめてくれないか! 誰も妹の死の瞬間を見ていないのだろう?」
「もう諦めよ、ダルシア。彼女は……」
「陛下、お待ちを」
宥めようとした国王の話をグラウニクが遮った。彼は国王に目で合図を送り、話す権利を得ると、続けて言った。
「あなたの言う通り、実際誰も彼女が死ぬ瞬間を見てはいない。幻獣の王に襲われて、ドーランに連れて行かれたのかもしれません」
「なら、なぜ死んだなどと?」
「申し上げにくいのですが、ドーランの王は竜でして、人間をとても強く憎んでおります。捕まって無事である可能性はほぼないかと……」
「ゼロではないっ!」
私は礼儀も忘れ叫んだ。パトリシアは、この世でたったひとりの家族だ。それを簡単に死んだことにされてたまるか! 誰になにを言われても、最後まで諦めないぞ。そう心に誓うと、私は一旦気を静め、話を切り出した。
「悪い冗談はやめてくれないか! 誰も妹の死の瞬間を見ていないのだろう?」
「もう諦めよ、ダルシア。彼女は……」
「陛下、お待ちを」
宥めようとした国王の話をグラウニクが遮った。彼は国王に目で合図を送り、話す権利を得ると、続けて言った。
「あなたの言う通り、実際誰も彼女が死ぬ瞬間を見てはいない。幻獣の王に襲われて、ドーランに連れて行かれたのかもしれません」
「なら、なぜ死んだなどと?」
「申し上げにくいのですが、ドーランの王は竜でして、人間をとても強く憎んでおります。捕まって無事である可能性はほぼないかと……」
「ゼロではないっ!」
私は礼儀も忘れ叫んだ。パトリシアは、この世でたったひとりの家族だ。それを簡単に死んだことにされてたまるか! 誰になにを言われても、最後まで諦めないぞ。そう心に誓うと、私は一旦気を静め、話を切り出した。