落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ～絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き～

　私はと言えば、ヴィーがうっかり本心を言ってしまう性分だったと思い出し、頭を抱えた。
「番、だと？　お前たち、そんな関係だったのか?　ゆ、許さないぞ！　パトリシアは私の妹なのだ！　兄の私に許可なく話を進められては困る！」
「おお。そうだな。では、兄上。俺にパトリシアをくれ」
「断るっ！」
　なにこれ。なんの茶番？　恥ずかしさを飛び越えて、もうウンザリ。そんな寸劇をしている場合じゃないってわかっているのかしら。これから、戦争を止めるために団結して立ち向かわないといけないのに。
「いい加減にして！　そういう話は平和を取り戻してからよ！　わかった？」
　大声で叱ると、ヴィーもダルシアもビクッと肩を揺らして、申し訳なさそうな顔をする。やれやれ、本当に世話が焼けるんだから！　
「それからアレンさん！　うちの店は、今下僕は募集しておりません。どうしてもというなら、トネリさんという方の綿花農場を手伝って下さい！　これから子どもが生まれて忙しくなりそうなので」
「は、はいっ！」