落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 日が傾きかけた森は、昼間の日差しの名残か、ほんのり温かい。しかし、太陽が陰ると一気に気温が低くなり、闇に包まれる。いくら前とは違うとはいえ要注意だ。三人で森に入ってしばらくすると、リンレンとトネリと合流した。
「みなさん、来てくれたのですね! すみません、勝手に行くなと言っておいたのに、ホミがまた……」
「いや、リンレン、ホミのせいじゃない。おれがマゴットの体調を心配して頼みにいったりしたからだ。ダルシアさんかパトリシアが帰ってくれば解決することなのに、ちょっと焦っちまって」
 疲れた顔のリンレンは「仕方ありませんよ」とトネリを慰め、トネリは青い顔で項垂れる。森の中を相当な時間探し回ったのだろう、疲労困憊の様子が見て取れた。
「それで状況はどうなのだ? その様子だとまだ見つかっていないのだろうが」
 ヴィーがリンレンに尋ねた。
「は、はい。西側から入って、左側はくまなく捜索しました。でも痕跡はなくて」
「では、手分けして右側を探そう。ダルシアはとリンレンはここから東の入り口に向かって捜索。俺とパトリシアは少しバーディア寄りで探してみよう。そして、トネリ、お前は帰れ」
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