落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
エピローグ
「パティちゃん。ホミお姉ちゃんですよー? ほら、お姉ちゃんって呼んでみて?」
 と、産まれたばかりの赤ちゃんに、ホミが無茶を言う。 
 あれから、半年が経ち、マゴットは無事出産をした。トネリはマゴットのお産が始まると泣いたり笑ったりと情緒不安定になり「落ち着け!」と宥めるアレンが大変そうだったのを覚えている。
 でもそれも当然だ。待ちに待った子どもの誕生に、落ち着いていられるわけがないのだ。
 超安産で産まれた(アミュレットの効果?)パティは、クマ耳を持つ可愛い女の子。よく眠り、よくお乳を飲む、お利口さんである。
 名前が私に似ているのは、マゴットがどうしてもそうしたい、と譲らず、トネリもそれに賛成したからだ。きっと国一番の美人になるぞー、というトネリの横で、いや国一番のうっかり者になるわよ、と内心申し訳なく思う私である。
「今日の収穫祭にはダルシアさんは来るの?」
 マゴットが尋ねた。
 今日はドーランの収穫祭。国全体がお祭り騒ぎで、陽だまり雑貨茶房の庭先でも、みんなが集まって準備の真っ最中である。パティを連れたマゴットとトネリ、アレンとブラウンはリンレンが作る料理の手伝いをしてくれていた。
「はい、ちょっと遅れるけれど来るそうですよ」
「よかったわね。ダルシアさん忙しいから、来られないかもって心配したのよ」
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