落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「ほらほら、ふたりとも。喧嘩はやめて、向こうで食事にしませんか? そろそろリンレンの料理が出来上がるはずですよ?」
「ああ、もう昼か。では私はリンレンの手伝いをするよ。久々に美味しい飯が食べられるのだから、働かないとな!」
 ダルシアは、笑顔で駆け出していった。久しぶりに会う「弟」の料理が楽しみで仕方ないらしい。
「もう、あんなにはしゃいじゃって……ヴィー、私たちも行きますか」
「ああ。だがその前に! さっきの続きを聞かせてくれないか?」
「さっきの、続き……あ!」
 勢いで告白しそうになった件ね。でも、「聞かせてくれ」なんて改めて言われると照れ臭いし、言いにくい。うん、もう今日は無理。
「すみません、ヴィー。お腹が空いたので先に行きますねっ!」
「お、おいっ!」
 足早に駆け出すと、ヴィーが慌てて追いかけてくる。陽だまり雑貨茶房の店先にはみんなが集まっていて、私とヴィーの様子を楽しそうに眺めていた。
 幻獣の国ドーランは快晴。
 楽しい笑い声に包まれて、今日も明日も明後日も、私はみんなと暮らしていく。
                                          END
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