落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「帰ったぞ、ティアリエス!」
大股で豪快に入ってきたのは、上背がある屈強な青年だ。兄ダルシアと同じくらいの年齢で、闇夜のような黒髪と冷ややかな黒い瞳が印象的である。纏う衣服も黒一色で、闇から生まれたような出で立ちであった。
見事に配置された顔のパーツは、バーディアの神殿で見た英雄像に似ていて、世界で一番美しいのではないかとさえ思えた。
ティアリエスが中性的であるのに対して、彼は超男性的。強さと美しさ、全てを兼ね備えた完璧さに私は目が釘付けになった。
「お帰りなさい、王。今日は遅かったですね」
「ああ、少し遠くまで見回りをしていたのだ。で、今日の怪我人の状況は?」
「昨日より三人増えました。バーディアの兵力も日ごとに増えていますので、明日はまた増えるかもしれません」
「小賢しい人間どもめ! 俺がバーディアの国土を一瞬で焼き尽くし、蹂躙してやろうか」
王様の迫力にぶるっと背筋が震えた。「ドーランの王は、人間が嫌い」という話は本当だったのね。自国に人間が紛れ込んでいると知れば……大変なことになるわ!
大股で豪快に入ってきたのは、上背がある屈強な青年だ。兄ダルシアと同じくらいの年齢で、闇夜のような黒髪と冷ややかな黒い瞳が印象的である。纏う衣服も黒一色で、闇から生まれたような出で立ちであった。
見事に配置された顔のパーツは、バーディアの神殿で見た英雄像に似ていて、世界で一番美しいのではないかとさえ思えた。
ティアリエスが中性的であるのに対して、彼は超男性的。強さと美しさ、全てを兼ね備えた完璧さに私は目が釘付けになった。
「お帰りなさい、王。今日は遅かったですね」
「ああ、少し遠くまで見回りをしていたのだ。で、今日の怪我人の状況は?」
「昨日より三人増えました。バーディアの兵力も日ごとに増えていますので、明日はまた増えるかもしれません」
「小賢しい人間どもめ! 俺がバーディアの国土を一瞬で焼き尽くし、蹂躙してやろうか」
王様の迫力にぶるっと背筋が震えた。「ドーランの王は、人間が嫌い」という話は本当だったのね。自国に人間が紛れ込んでいると知れば……大変なことになるわ!