落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「は、初めまして、王様。パトリシアです。挨拶が遅れてしまい申し訳ありません」
恐る恐る頭を下げてから、彼の様子を窺うと、なぜかこちらを見たまま微動だにしない。も、もしや、もう人間とバレたとか? 幻獣の国の王というからには、特別な力で相手の本性を見抜く魔法とか持っているかも……。
「王、どうかしましたか?」
ティアリエスが首を傾げつつ尋ねると、我に返ったように王様が捲し立てた。
「い? いや、特にどうもしない。うん、パ、パトリシアというのか。そうかウェアキャットなのだな」
「はい」
よかった、どうやらバレてはいないみたい。気付かれないようにほっと息を吐くと、王様が近付いて来た。
「俺はドーランの王、ヴィラン・ヴァン・ヴァンデッドだ。よろしくな」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。王様」
「ヴィーと」
「……え?」
なにを言ったのか理解出来ず、聞き返す。すると、ゆっくりと彼が言った。
「俺の名前はヴィラン。だからヴィーと呼べ」
「あの、しかし、みなさん「王」とか「王様」とか呼んでいますが」
救護所のみんなも、ティアリエスも、ホミも。名前でなんて呼んでいない。
恐る恐る頭を下げてから、彼の様子を窺うと、なぜかこちらを見たまま微動だにしない。も、もしや、もう人間とバレたとか? 幻獣の国の王というからには、特別な力で相手の本性を見抜く魔法とか持っているかも……。
「王、どうかしましたか?」
ティアリエスが首を傾げつつ尋ねると、我に返ったように王様が捲し立てた。
「い? いや、特にどうもしない。うん、パ、パトリシアというのか。そうかウェアキャットなのだな」
「はい」
よかった、どうやらバレてはいないみたい。気付かれないようにほっと息を吐くと、王様が近付いて来た。
「俺はドーランの王、ヴィラン・ヴァン・ヴァンデッドだ。よろしくな」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。王様」
「ヴィーと」
「……え?」
なにを言ったのか理解出来ず、聞き返す。すると、ゆっくりと彼が言った。
「俺の名前はヴィラン。だからヴィーと呼べ」
「あの、しかし、みなさん「王」とか「王様」とか呼んでいますが」
救護所のみんなも、ティアリエスも、ホミも。名前でなんて呼んでいない。