落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 その後も、私はライガンの下で地道に治癒魔術を練習しつつ、アミュレット作りを行った。一足先に修業を終えたダルシアは、ライガンの手を借りたいという各国の要人たちの依頼を粛々とこなし、その働きにより「聖騎士」という称号を手に入れていた。聖剣使いのダルシア、といえば、もうこの世界に知らぬ者がいないくらいの有名人である。
 修業を始めて三年後、高齢だった師匠ライガンは穏やかにこの世を去った。
 満足そうに「元気でな」と言い残し、ふわりと微笑んだ師匠を見送ると、ダルシアと私は、白魔術師として恥ずかしくないように生きて行こうと誓い合った。
 そんな時、バーディアから、ダルシアに救援要請の手紙が来た。ちょうど北の辺境国に仕事で出掛けていて不在のダルシアに代わり、私は手紙を開けた。
 内容は、隣に位置する「幻獣の国ドーラン」と開戦したので、兵士たちの士気向上のため、参戦して欲しいというものだった。
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