落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
私とリンレンとホミは坂を下り、まだ人の少ない町の中へと入る。開店準備中の食堂や、もうすでにお客でいっぱいのパン屋。その様子を見ながら町を抜けると、景色はガラリと変わった。
アーチを描く水道橋の向こうには、広大な綿花畑が広がっている。そして更にその向こうに黒く聳え立つ山があった。古書の記述が確かなら、あの山が「業火の山」。煮えたぎるマグマを溜め込む火山である。迷いの森の外、バーディアからは微かに山頂しか見えないけれど、こうして近くで見ると、圧倒される神々しさがある。
「大きい山ね。火山でしょ?」
「はい。業火の山です。火口付近は灼熱の業火で生物は生きていられないと聞きます。ただひとり、竜である王様だけはその業火に耐えられるそうですよ」
「王様、竜だもんね。炎なんかへっちゃらよねっ」
得意げに言うホミに、私も頷き返した。竜の吐く炎というのは、人が使う炎とは段違いの熱さだと書物に書いてある。料理に使う炎の千倍、ひょっとしたら、一万倍かもしれない。つまり「業火の山」もヴィーの炎に匹敵するような強力なものだということだ。
「業火の山には伝説もあるのですよ」
「伝説?」
アーチを描く水道橋の向こうには、広大な綿花畑が広がっている。そして更にその向こうに黒く聳え立つ山があった。古書の記述が確かなら、あの山が「業火の山」。煮えたぎるマグマを溜め込む火山である。迷いの森の外、バーディアからは微かに山頂しか見えないけれど、こうして近くで見ると、圧倒される神々しさがある。
「大きい山ね。火山でしょ?」
「はい。業火の山です。火口付近は灼熱の業火で生物は生きていられないと聞きます。ただひとり、竜である王様だけはその業火に耐えられるそうですよ」
「王様、竜だもんね。炎なんかへっちゃらよねっ」
得意げに言うホミに、私も頷き返した。竜の吐く炎というのは、人が使う炎とは段違いの熱さだと書物に書いてある。料理に使う炎の千倍、ひょっとしたら、一万倍かもしれない。つまり「業火の山」もヴィーの炎に匹敵するような強力なものだということだ。
「業火の山には伝説もあるのですよ」
「伝説?」