落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「はい! 十分過ぎるくらいです! 前は赤と黄色と白の色の三色しか使えなかったのですが、今回はいろんな色の組み合わせが出来そうです。あと、図々しくて申し訳ないのですが、かぎ針も貸していただけませんか?」
「もちろんいいわ! あ、それから、申し訳ない……なんて思う必要はないのよ……あの子たちの楽しそうな顔が見られて、私もトネリもすごく嬉しいんだから」
「あの子たち……リンレンとホミのこと、ですか?」
 窺うように聞くと、マゴットは静かに頷いた。
「ルルドさんたちが亡くなってから、ずっと兄妹ふたりで頑張っていたの。でもね、子どもたちだけじゃやっぱり心配でしょう? うちには子どもがいないし、一緒に暮らそうって誘ったんだけど、薬局を守りたいからって断られちゃって」
「そうなんですか……」
「だけど、親戚のパトリシアが来てくれたのならもう安心ね! あの子たちも懐いているみたいで本当によかった」
 マゴットは豪快に笑い、私の背中をバンバンと叩いた。
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