落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「あの……そもそもなぜ戦争を始めたのですか? ドーランが攻めて来たのでしょうか?」
「あら、あなた、バーディアに住んでいるんじゃないの?」
「いえ、五年前まではここに住んでいたのですが、疫病が流行って両親を亡くし、それから兄と国を出たのです」
「まあ……あの疫病は酷かったものね。うちも母親を亡くしたから気持ちはわかるわ」
しんみりと頷くと、女主人は更に声を低くした。
「どうして戦争が始まったか……それはね、私たちにもよくわからないの。ある日突然、国王陛下が開戦を宣言して、あっという間に戦争を始めてしまったのよ」
「急に、ですか?」
「そう。噂話ならいくつかあるのだけど。たとえば、疫病で王妃様と王太子殿下を亡くされた国王陛下が自暴自棄になったのだ、とか、神官長グラウニクが関与しているとか」
「神官長?」
私は首を傾げた。五年前、バーディアに住んでいた時には神官長なんて役職はなかったからだ。
「神官長グラウニク。二年前にこの国にやって来て、国王陛下に気に入られてその地位を得たの。何者かは知らないけど、当時大した出世だと噂になったものよ」
「へえ……」
「あら、あなた、バーディアに住んでいるんじゃないの?」
「いえ、五年前まではここに住んでいたのですが、疫病が流行って両親を亡くし、それから兄と国を出たのです」
「まあ……あの疫病は酷かったものね。うちも母親を亡くしたから気持ちはわかるわ」
しんみりと頷くと、女主人は更に声を低くした。
「どうして戦争が始まったか……それはね、私たちにもよくわからないの。ある日突然、国王陛下が開戦を宣言して、あっという間に戦争を始めてしまったのよ」
「急に、ですか?」
「そう。噂話ならいくつかあるのだけど。たとえば、疫病で王妃様と王太子殿下を亡くされた国王陛下が自暴自棄になったのだ、とか、神官長グラウニクが関与しているとか」
「神官長?」
私は首を傾げた。五年前、バーディアに住んでいた時には神官長なんて役職はなかったからだ。
「神官長グラウニク。二年前にこの国にやって来て、国王陛下に気に入られてその地位を得たの。何者かは知らないけど、当時大した出世だと噂になったものよ」
「へえ……」