落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「ははは。元気だな」
ヴィーが豪快に笑う。
「ええ、本当に。あ、もう体調も戻りましたので自分で歩きます」
「いや、無理はしないほうがいい。このまま行こう」
「でも、重くないですか?」
「重い? 重さなど全く感じない。まるで羽のようだ」
そんなはずはない、と思いつつ、全く降ろす気がないヴィーの背に乗ったまま、月を見上げる。
幻獣と獣人が過去に人間に狩られたという歴史。王様であるヴィーが憎しみを捨てられない気持ちは痛いほどわかる。でも、本当に気持ちを変えることは出来ないのだろうか。ドーランとバーディア、幻獣たちと人間が楽しく暮らせる世界なんて夢物語なのだろうか。
いろんな可能性を模索しながら、大きな背中に体を預ける。
「では、お言葉に甘えて、家までお願いします」
「ああ」
短い返事に、安堵と思いやりを感じ、私は確信する。本来ヴィーは優しい人。好戦的で憎しみに凝り固まっているように見えても、なにかのきっかけで変わってくれるはずだわ。あとは、バーディア側に戦争をやめるように働きかければ……。
見通しは全然立たない。両国の戦争の原因もわからない。
ヴィーが豪快に笑う。
「ええ、本当に。あ、もう体調も戻りましたので自分で歩きます」
「いや、無理はしないほうがいい。このまま行こう」
「でも、重くないですか?」
「重い? 重さなど全く感じない。まるで羽のようだ」
そんなはずはない、と思いつつ、全く降ろす気がないヴィーの背に乗ったまま、月を見上げる。
幻獣と獣人が過去に人間に狩られたという歴史。王様であるヴィーが憎しみを捨てられない気持ちは痛いほどわかる。でも、本当に気持ちを変えることは出来ないのだろうか。ドーランとバーディア、幻獣たちと人間が楽しく暮らせる世界なんて夢物語なのだろうか。
いろんな可能性を模索しながら、大きな背中に体を預ける。
「では、お言葉に甘えて、家までお願いします」
「ああ」
短い返事に、安堵と思いやりを感じ、私は確信する。本来ヴィーは優しい人。好戦的で憎しみに凝り固まっているように見えても、なにかのきっかけで変わってくれるはずだわ。あとは、バーディア側に戦争をやめるように働きかければ……。
見通しは全然立たない。両国の戦争の原因もわからない。